仕事柄、スマホアプリの作成を相談されることがあるわけです。
それが、業界にある程度詳しい方たちであれば、大体の予算感もわかるし、規模も理解されているわけで、こちらの見積などに対しても「それなりの」反応はしていただけるわけですが、最近はちょっと事情が違ってきているようです。
先日も、個人で仕事をしている方からそんな相談を受けました。全くITとは関係ない業界の方でしたが、一応話を聞いてみると、お客様のスマホにアプリを入れて自社の商品を売りたい、というものでした。しかもオススメ機能なども含めて欲しい、というお話。
そのうち、お話がだんだんとふくらんできたので、
「ちょっと待って下さいな」
と。そして、
・「スマホアプリ」はスマホだけで完結しないものもある(今回の件はそのパターン)
・作るのはいいが、どうやって配布するのか(値段はどうするか、という点も)
・アプリの公開によって収益がどれほど見込めるのか
なんて話をしたうえで、予算感を伝えたところ、
「そんな金額個人商店で出せるわけないじゃないの!」
と言われてしまいました。
意外かもしれませんが、「アプリ」と言っても、ただスマホの画面上にあるモノだけを作るわけではないんです。必要があればクラウドサーバなどへの接続を行ってみたり、お客様の情報を管理しているデータベースとの接続があったりするんですが、そういったのを作るのがプログラマとしての「腕の見せ所」なんです。そして、それが思っている以上に開発の料金に上乗せされるわけです。
そこまでは理解できている方でも、その次の話、「アプリと(商売の)収益」、という話になると今ひとつピンと来ない方が多いです。
例えば今回のお話で言えば、要するにAmazonアプリと同じものを作りたい、と考えているのだと仮定します。ちなみに、Amazonのアプリは無料で提供されています。もちろん、今回の方も「アプリは無料で配布したい」とおっしゃっていたのですが、そのアプリを使ってくれるというお客様は一体どれくらいいるのかを考えてみましょう。
Amazon(日本に限ります)の月間のユーザ数は、およそ5,000万人(2014/12のデータです)。この年の年間売上高が8,300億円ですから、一ヶ月平均690億円。一人あたりの売上は1,400円程度/月になります。
これを個人でやろうとするとどうなるか。お客様の数や販売する品物の種類にもよるのですが、月間ユーザが100人程度で、商品が1ヶ月で消費されるもの、価格は通常店頭で販売している価格が1,000円のものを同じ値段で買うと仮定すると、月間の売上は10万円になります。が、配送料を販売側が持つとすればその分利益が減る事になります。そして、開発費用が仮に100万円だったとすると、およそ1年分のアプリからの売上を持っていかれることになるわけです。
実は、私はいつもこういった相談を受けた際に、一応こういった説明をし、それを前提に見積をすることにしているのですが、やっぱり反応がすごいです。びっくりされて、「やっぱり無理かぁ」で終わることが多いです。やはりそれでも相談に乗って欲しいと思う方が多いというのは、それだけ「スマホのアプリ」が一般的になってきたから、そして、それを便利だと思って使っている方が多いからなのだろうな、と感じています。
私は作るだけでなく、マーケティングも多少かじっているので、どうしても「作りまっせ!」一筋では行かないんですよね・・・。
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